『完全なる飼育』シリーズの9作目
イギリスの演劇界で名を成した後、日本に凱旋帰国。その前衛的な作風で演劇界の寵児として一世を風 靡した女性演出家・小泉彩乃。しかしながら、ここ数年は観客動員が伸び悩み、とこと ん追い込むその演出スタイルは俳優からも敬遠されている。新作舞台『完全なる飼育』の公演初日を2日後に控えている中、サディスティックな演出についていけなくなった主演俳優が突如降板してしまう。代役のオーディションがすぐさま行われたが、なかなか決まらない。もはや中止にするしかない。諦めた彩乃が劇場を後にしようとした時、一人の青年・篠田蒼がやってくる。演技が上手いとは到底見えない蒼に、もうオーディションは終わったと言い、追い返そうとする彩乃。だが、蒼は、何とかオーディションを受けさせて欲しいと懇願する。そのすがるような眼差しに血が騒ぐ彩乃。 そして、二人きりの過酷な舞台稽古が始まる──。 舞台『完全なる飼育』は、実際に起きた女子高生誘拐監禁事件に着想を得た、江戸時代、藩主の娘・菊 姫を貧しい鍛冶職人が拉致・監禁し、次第に二人に恋愛感情が芽生えるという前衛時代劇。 蒼に対して、稽古という名の容赦ない“飼育”をしていく彩乃。“飼育”を経て、やがて、蒼の演技は徐々に凄みを増し……遂に、二人の関係は逆転するのだった。
完全なる飼育 étude
(C)SEDIC INTERNATOINAL,SEDIC-DILON
2020年11月27日(金)公開